イジワル同期とルームシェア!?
「元希……」


逃れるように顔をそむけると、少しだけ怒った声で元希が言った。


「たとえば、俺がアデレードホテルの経営に失敗したとしたらどうする?」


失敗って、たとえ話でも嫌だなぁ。でも……。


「謝るよ。ホテルがつぶれて迷惑をかけた人たちに、元希と一緒に謝るよ」


「……謝るっておまえ。俺はさー、離婚するかどうかっつう、そっちの話を……」


え?そうなの?
そういう方向?
でも、私が自分から元希と離れる気がないのは、もう絶対のことなんだけど。


「いいや。俺、おまえのそういうとこが好きなんだよ。きっと、おまえは最後まで俺の味方なんだろうなってわかる。たとえばさ、政治家の娘とか銀行頭取の娘とか、いい縁談はたくさんあると思うよ。実際、今まで何度かそういう話もあったし」


「え!?元希、縁談あったの!?」


衝撃の事実に私は泣きそうに焦った。
元希が取り成すように答える。


「いや、もう前の話だし。そうじゃなくてさ、俺はアヤののんきで抜けてて、優しいとこに惚れたんだ。俺は自分の選んだ人が振り向いてくれたことの方が大事なんだよ。その人が傍にいてくれる方がよっぽど幸せ。勇気が湧いてくる」
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