イジワル同期とルームシェア!?
青海は私の手にスポーツタオルを押し付けて笑った。


「ほら、コーヒーも飲むだろ。顔洗ったらこっちこい」


私はライオン丸のまま、じゃぶじゃぶと顔を洗い、のそのそとリビングダイニングに戻った。
もういい、スッピンで。

対面式のキッチンカウンターに設置されたダイニングテーブルにつく。

昨夜はよく観察できなかったけれど、青海の部屋は清潔で整っている。
モノトーンで統一された部屋は男性的で簡素だ。
一人暮らしのメンズの部屋にしては、なかなか綺麗にしてあるぞ。

かと言って、神経質そうな感じはない。
部屋の隅に積まれた新聞や、出しっ放しの掃除機なんかに適度な生活感を覚える。
ソファにはクローゼットにしまい忘れた昨日のネクタイが引っかかっているし。

確かこの部屋は、伯父さんからの借り物だって言っていた。
こまめに掃除しているみたいだなぁ。


「ほら、食べろよ。明日からは朝食は各自自由な。キッチンは好きに使ってヨシ」


青海が私の前にバタートーストとミルクの入ったコーヒーをどすんと置く。

はわー、バターのいい匂い。
シンプルだけど用意してもらった朝食に、今まで忘れていた食欲が湧いてくる。
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