After
私が某SNSで智希にメッセージを送ったのは簡単な理由からだった。
プロフィールに貼られている本人の画像が好みだったからだ。
こんな事を言うと私を面食いのように思うかも知れない。
でもそうではない。
今まで一般的にかっこいいとは言えない人や自分より背の低い人と付き合ったこともある。
要するに内面を見て好きになったら、その人がタイプになるという質だった。
だからかっこ良かろうがかっこ悪かろうがとにかく話してみる。
遊んでみる。
そんな事をしているから浮気相手も増えるんだろうな。
みんなそれぞれ良いところを持っているんだから。

私はそんな恋愛の仕方をするのだが、今回は違った。
顔で選んでみた。
なぜだろうか。
今までこれだけ内面を見てきて、その上で選んだ主人の大輝とは徐々にうまくいかなくなっていた。
性格の不一致というありきたりな理由で、涙しながら愛を誓った二人の間には溝が出来ていた。
それを思うと、こうなったらとことん見た目で選んでみようと思っても不思議では無いだろう。

一目で好みだと思った智希にメッセージを送り、連絡を取り始めた。
私は北関東の栃木県に住んでいる。
智希は神奈川県の横浜に住んでいる。
それは多少遠距離となる。
そんな中、偶然にも智希が、知り合った翌月に栃木県に出張に来るというのだ。
しかも私の家のある小山市に。
智希と知り合った時入院中だった私も、翌月半ばには退院していた。
3週間の出張だという期限に間に合い、一緒に飲みに行くことになった。

私はその時松葉杖をつきながら歩いていた。
アパート2階のベランダから落ちて、腰と足の骨折。
おまけに額を一針縫った。
足の骨折は複雑で、手術をすることになり、腰の骨折よりも治りが遅かった。
初めてのデートに松葉杖・・・。
私は決まりが悪い心地をしながらも、初めて会う智希に胸を躍らせていた。
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