君に恋していいですか?
「どんなカッコしてたって、しっかり化粧してなくたって、オレは卯月さんすっげぇかわいいって思ってる。」

(かっ…かわいいって何……?!)

思いもよらない志信の言葉に、薫は急にドキドキして、顔を上げる事ができなかった。

「さっきから何言ってるの…。笠松くん、おかしいよ…。酔ってる?」

真っ赤な顔をして、うつむいたまま恥ずかしそうに尋ねる薫に、志信は少し意地悪く笑って、更に顔を近付けた。

「そうかもなぁ…それじゃさ…。」

志信が薫の耳元に唇を寄せて甘い声で囁いた。

「酔ったせいにして、ただの同期以上の事、してもいい?」

いつもと違う、“男”の顔で志信に迫られて、薫の鼓動が激しく高鳴る。

(な、何これ…?!なんでこんな…。)

ドキドキしているのを隠すように、薫はそっぽを向いて素っ気なく答えた。

「そんなの…ダメに決まってるでしょ。」

予想していた通りに薫に拒否されて、志信は自嘲気味に笑い、近付けていた顔を離した。


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