君に恋していいですか?
それから何事もなかったかのように焼き鳥屋を出た二人は、少しぎこちなく距離を取って歩いた。

(なんか気まずい…。)

薫はソワソワしながら志信の横顔をそっと窺った。

(もしかしたら笠松くんって、酔ったら口説くタイプ?)

自分だけでなく、他の女の子にもそうしているのかも知れないと思うと、ほんの少し心がチクリと痛む。

(こんなのおかしい…。同期以上の事を求めないでって言ったのは私なんだから…。)

「笠松くんってモテるんだね。女の子たちに囲まれてた時はビックリしちゃった…。酔ったら口説くタイプ?」

「ん、何?気になる?もしそうだったら?」

「別に……私には関係ない。」

「だよな。オレの事なんかまったく眼中にないもんな。オレが誰を口説こうが、誰と付き合おうが、卯月さんには関係ない。」


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