君に恋していいですか?
表情を読み取る事ができなくて、薫は志信の顔を見上げた。

「何?」

「……なんでもない。」

それからは二人とも黙ったまま歩いた。

薫のマンションの前まで来ると、いつものようにじゃあね、と志信は帰って行った。

胸にモヤモヤしたものだけが残る。

(関係ない…か…。)

突き放すような志信の言葉を思い出すと、どういうわけか少し寂しい気がした。

(なんなの、もう…。)





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