君に恋していいですか?
薫がカーテンを閉めると、梨花が残念そうに肩をすくめた。

「すっごく似合ってたのに、もったいない。」

梨花は試着室の薫には聞こえないように、少し離れた場所へ志信を手招きして小声で尋ねた。

「笠松さん、昨日卯月さんと会ってたでしょう?」

「あっ、うん。」

昨日薫と約束していた事は梨花には言っていなかったはずなのに、梨花が知っていた事に志信は少し驚いた。

「やっぱり…。どうでした?」

「どうでした?って…。なんかちょっと様子がおかしかった…かな。」

「おかしかったですか?」

「うん。うちの部署の後輩の女の子たちに、卯月さんも一緒に飲みに行こうって誘われたんだけど…私はいいから笠松くんだけでも行ってきたら?とか言われて…。もちろん断ったけど、二人で飲んでても、なんかそわそわしてるって言うか、やたらとうつむいたりして…。」

志信が説明すると、梨花は小さくため息をついた。


< 120 / 290 >

この作品をシェア

pagetop