君に恋していいですか?
「おはようございます。今月の社報です。」

薫がパソコンに向かって今日の仕事の準備をしていると、後輩が挨拶をしながら社報を差し出した。

「おはよう。ありがとう。」

受け取った社報のページをパラパラとめくって目を通していると、人事異動のページになんとなく目がいった。

(えっ…。)

そこには、浩樹の支社から本社への異動が記載されていた。

(本社…経理部…?課長…?)

支社にいるはずの浩樹とたびたび顔を合わせていたのは、異動前の研修か何かでしばらく本社に来ていたからなのだろう。

(今月から正式に本社に異動したんだ…。)

薫は社報を閉じて、奥歯を噛みしめた。

(ちょっと落ち着こう…。)

小銭とタバコを持って席を立ち、休憩スペースでコーヒーを買って、喫煙室に足を運んだ。


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