君に恋していいですか?
どんなに考えても答えは出ない。

ただ、大事な何かをなくしたようで、無性に寂しい。


薫は短くなったタバコを灰皿の上で揉み消してため息をついた。

(笠松くん、片想いだって言ってたな…。あれからその子とはどうなったんだろう?)

なんとなく志信の事を考えて、薫はスマホを手に取った。

画像のアルバム画面を開いて、この部屋で梨花の誕生日パーティーをした時の写真を眺めた。

二人で肩を寄せて撮ったツーショット写真には、満面の笑みを浮かべる志信と自分の姿があった。

(あの時…笠松くん、あったかくて気持ち良かったな…。)

抱きしめて髪を撫でてくれた優しい手。

触れ合った肌の温かさと、額に触れた志信の唇の感触にドキドキした。

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