君に恋していいですか?
梨花との電話を切ってしばらく経った頃、玄関のチャイムが鳴った。

「卯月さん、急に無理言ってすみません。」

「うん、いいよ。たまにはね。」

「私、卯月さんと飲みたいなぁと思って、お酒買ってきました!」

「いいね。さっきまで一人で飲んでたから味気なかったんだ。飲み直そうかな。」

金曜日なのに一人で飲んでいたと言う事は、志信とも恋人とも会っていないんだなと梨花は思う。

梨花を部屋に案内して、薫は冷蔵庫からビールを取り出した。

グラスを2つ出してそれぞれお酒を注ぎ、乾杯した。

「ずっと飲んでたんですか?」

「うん。帰ってからずっとね。」

「すごいですねぇ…。」

この時間を考えると、自分が来るまでにかなりの量を飲んでいたのかも知れないと思いながら、梨花はグラスのカクテルをできるだけゆっくりと飲んだ。


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