君に恋していいですか?
梨花はバッグからスマホを取り出して、アドレス帳の画面を開いた。
薫は梨花の手を握り、慌ててそれを制した。
「ちょっと待って。それはやめて…。」
しめしめと心の中で笑いながら、梨花は顔を上げて、スマホから薫に視線を移した。
「何か…笠松さんには知られたくない事ですか?それとも、もう知ってるのかな…。」
薫は黙ったままうつむいて、梨花の手から自分の手を離した。
「話して下さいよ、卯月さん。笠松さんには何も聞きませんから。」
(なんかおかしな事になったけど…。話すまで引き下がってくれそうにない…。)
酔いも手伝って、ずっと誰にも話さず自分の胸にしまっていた苦い恋の記憶を、薫はゆっくりと話し始めた。
入社当初、社内恋愛をしていた事。
2年ほど付き合っていたその人には、実はずっと前から同じ部署に彼女がいて、彼女が妊娠したのを機に結婚し、彼が支社に異同になった後でその事を他の社員から聞いて知った事。
薫は梨花の手を握り、慌ててそれを制した。
「ちょっと待って。それはやめて…。」
しめしめと心の中で笑いながら、梨花は顔を上げて、スマホから薫に視線を移した。
「何か…笠松さんには知られたくない事ですか?それとも、もう知ってるのかな…。」
薫は黙ったままうつむいて、梨花の手から自分の手を離した。
「話して下さいよ、卯月さん。笠松さんには何も聞きませんから。」
(なんかおかしな事になったけど…。話すまで引き下がってくれそうにない…。)
酔いも手伝って、ずっと誰にも話さず自分の胸にしまっていた苦い恋の記憶を、薫はゆっくりと話し始めた。
入社当初、社内恋愛をしていた事。
2年ほど付き合っていたその人には、実はずっと前から同じ部署に彼女がいて、彼女が妊娠したのを機に結婚し、彼が支社に異同になった後でその事を他の社員から聞いて知った事。