君に恋していいですか?
梨花は薫の隣に座り、優しく背中を撫でた。

「素直な卯月さん、かわいいですよ。私は大好きです。」

「ふふ…。ありがと。私も長野さん、妹みたいでかわいくて好き。」

薫が涙目で笑ってそう言うと梨花は微笑んだ。

「卯月さん、ちゃんと好きって言えるんじゃないですか。」

「え…?」

「前の恋がちゃんと終わってなかったから、ずっと悲しくてつらくて、また恋をして傷付くのが怖かっただけなんですよね。だから踏み出せなかったんでしょう?」

「どうかな…。」

「卯月さんの気持ちは、卯月さん自身にしかわかりません。本当はどうしたいのか、自分の気持ちに正直になって下さい。」

「どうしたいのか…?」

「そろそろ、目をそらさないでちゃんと見てみませんか?そうすれば、卯月さん自身が本当に好きな人も、卯月さんを本当に好きだと思ってくれてる人も、わかると思います。」


< 229 / 290 >

この作品をシェア

pagetop