君に恋していいですか?
薫のマンションの前まで来た時、手を繋いで歩く二人をジッと見つめるひとつの影があった。

「あ…。」

薫はその人に気付き、足を止めて息を飲む。

志信の手を握る薫の手が緊張で強ばった。

「ん?」

志信は薫の視線の先を追って、そこに浩樹がいる事に気付いた。

「薫、大丈夫?」

「まだ返事してなかったから…。」

少し落ち着かない様子で薫が視線をさまよわせる。

「そうか…。オレ、一緒にいようか?」

「ううん…。ちゃんと断ってあの人との事は全部終わりにするから。志信は帰ってて。」

「でも…。」


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