君に恋していいですか?
薫はうなずいて、ハッキリと答える。

「うん…好き。すごく好き。」

薫の返事を聞いて、浩樹は唇を噛みしめた。

「オレとの事は考えてくれないの?」

「私を騙して捨てたのは浩樹だよ。恋人だと思ってた人が支社に異動になった事も、ずっと前から付き合ってた彼女が妊娠して結婚したって事も、他の人から聞かされた時の私の気持ちがわかる?」

浩樹は唇を噛みしめたまま、黙って薫の話を聞いている。

「自分の知らないうちに都合のいい浮気相手にされてたなんて…だから人に知られるのが面倒だったんだって…つらくて悲しくて、ものすごくみじめだった…。」

「ホントに悪かった…。だから、その分、今度こそ薫を幸せにしたいんだ。オレのところに戻って来て欲しい。好きなんだ、薫の事が…。」

薫はゆっくりと首を横に振った。


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