君に恋していいですか?
家に帰り、志信はタバコに火をつけた。

不安な気持ちでスマホを手にソワソワして、タバコの味も匂いもわからない。

まだ長いタバコを灰皿の上で揉み消して、またすぐ新しいタバコに火をつけて、またすぐに灰皿に…を何度かくり返した。

(はぁ…ダメだオレ…。薫からの電話待ってるくせに、薫の言葉聞くのが怖い…。)

志信は大きなため息をついてベッドにもたれ、さっきまでここに薫がいた事を確かめようと、シーツに手を滑らせた。

(やっとオレだけの薫になったんだ…。誰にも渡したくない…。)

何気なく部屋を見渡した志信は、テーブルの下にスマホが落ちている事に気付いた。

(スマホ?オレあんな所に置いたかな?)

テーブルの上に自分のスマホが置いてある事を確かめて、志信は慌てて立ち上がった。

(薫のスマホか!!なんだよ、電話するから待ってろって、ここにあったら電話できねぇじゃんか!!)


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