君に恋していいですか?
「あの人の事、すごく好きだった?」

「うん…。すごく好きだった…。だから余計に傷付いたし、つらかった…。」

「別れてからもずっと?」

薫は少しの間考えて、ビールを一口飲んだ。

「そうかも知れない。ちゃんと別れてなかったから、私の中で終わってなかった。」

「もう一度付き合って欲しいって言われて……迷ったりした?」

言いにくそうに尋ねる志信から、薫は少し目をそらした。

「少しね…。」

「そっか…。」

肩を落として黙り込む志信を見て、薫は慌てて弁解する。

「だってあの時は…志信が、好きな人がいるとか、すっげぇかわいい子だとか言うから…。」

「え?」

志信はその事になんの関係があるのかと怪訝な顔をした。


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