君に恋していいですか?
「そうかもね。でもあの時はそれで自分の気持ちもわからなくなって、なんかもうどうでも良くなって来て、一人で寂しく歳取って死んでくくらいなら、好きだって言ってくれてるしもう一度信じてみようかなぁ…とかね。」

「…思ったんだ。」

「うん。でもやっぱり…志信の事ばっかり考えてた。志信の事を遠ざけてたのは自分だったし…そもそも志信とは何も始まってもいなかったんだから、他に誰か好きな人がいても仕方ないかって思った…。」

志信は薫の腕を引き寄せ、強く抱きしめた。

「あんなとこ見たら、好きだなんて言えないじゃん…。あの時はあれがオレの精一杯の告白だったんだよ…。気付けよバカ…。」

耳元で切なげに話す志信の声に、薫の胸がキュンと甘い音を立てた。

(今…胸がキュンって…こんな事初めて…。)

薫はそっと志信の頬にキスをした。

「今頃になって志信が好きだって気付くなんてバカだなぁって、自分でも思った。」


< 277 / 290 >

この作品をシェア

pagetop