君に恋していいですか?
飲み会が終わりに近付いて来た頃、志信が焼酎のお湯割りを飲み干して薫に笑いかけた。

「二次会、行こうよ。」

薫はタバコの煙を吐き出しながら少し考える。

「でも、私が行っても浮いちゃうから。後輩たちにも気を遣わせるし。」

薫がそう言うと、志信がジッと薫の目を覗き込むように見つめた。

「じゃあ…二人だけで飲み直す?」

少し呆れながら、薫はタバコを灰皿の上でもみ消した。

「一応聞くけどそこに深い意味はないよね?」

「んー…どうかな?オレも男だしなぁ…。」

志信は笑いながら薫の右手を左手で握った。

薫は志信の左手を、空いている左手で掴んで自分の右手から引き剥がした。

「さっきも言ったけど…同期の仲間以上の事を期待されても困る。」

「なんで?」

不思議そうに尋ねる志信から視線をそらすように、薫はうつむきがちに答える。


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