君に恋していいですか?
志信は財布から100円玉を2枚取り出し、二人分のお金を機械に入れた。

「よし、行くぞー!」

ゲームが始まると、難易度の高いリズムを見事にクリアしていく二人の周りに、あっという間にギャラリーが集まった。

ほぼ互角の二人の腕前に、ギャラリーから感嘆の声が漏れ聞こえる。

「やるな!!」

「そっちこそ!!」

その曲がフィニッシュを迎えた時、薫の得点の方がわずかにリードしていた。

「私の勝ち。月曜の昼御飯は笠松くんのおごりね。」

得意気にニヤリと笑う薫を見て、志信も笑う。

「さすがだなぁ。」

本当は最後の最後に、志信が何度かわざと少しだけタイミングをずらしてボタンを押した事は、薫には秘密だった。


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