君に恋していいですか?
高校から大学時代の約7年間、この会社のガソリンスタンドでアルバイトをしていた。

この仕事が好きで、迷う事なくこの会社に就職し、入社後は本社1階のSS(サービスステーション)に配属された。

オフィス街のど真ん中にある本社SSは、平日はたくさんの社用車が来店し、息をつく間もない忙しさだった。

長い間アルバイトをしていた事から、入社当時から新入社員扱いはあまりされず、即戦力として重宝された。

本社のSS部からカウンセラーにならないかと声がかかったのは入社3年目の事だった。

少し躊躇はしたものの、ただオフィスにこもりっきりにならず、担当地区のSSを周りスタッフのケアや、人員が足りない時のヘルプなど、現場に出る機会が多いカウンセラーの仕事ならとその申し出を受け、その後正式に異動の辞令を受け取った。

一日中デスクに向かって過ごすのは性に合わないし、何よりSSでの仕事が好きなので、できればずっと現場にいたかった。

しかしアルバイト時代の長いキャリアと質の高いサービス、群を抜いた販売実績が、本社人事部の間では逸材と称され、異例の若さでカウンセラーに抜擢された。


< 4 / 290 >

この作品をシェア

pagetop