君に恋していいですか?
「……何?」

「いや、なんでもない。」

エレベーターがSS部のあるフロアに到着すると、志信は笑って軽く左手を上げた。

「じゃあ、また後で。」

「うん。」

薫がエレベーターを降りてドアがしまると、同じ販売事業部の先輩の石田が驚いたように志信に話し掛けた。

「笠松…卯月さんと付き合ってんのか?」

「いや、同期なんです。金曜のSS部との飲み会で仲良くなって。」

「へぇ…。あの子と付き合おうと思ったら大変そうだよな。仕事出来すぎだし、なんか気が強そうだし。」

「そうですかね?意外と話しやすいですよ。」

(かわいいとこもあるし…。)

志信はさっきほんの一瞬見た薫の照れた顔を思い出して、少し笑みを浮かべながらエレベーターを降りた。


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