君に恋していいですか?
午前中の販売促進会議の間中、志信は会議の内容に耳と意識を傾けながらも、密かに薫の横顔を見つめていた。

真剣に考えている顔も、時おりメモを取る時のうつむいた横顔も、現場にいた時や飲み会の時には見られなかった顔だ。

(何て言うか…すげーキレイなんだけど…。)


男女とも若くて元気な高卒の新入社員が多い会社の中で、女性社員には珍しく大卒の薫は、入社当初から同期の中でも目立つ存在だった。

薫のアルバイト時代の長いキャリアと本社上層部からの高評価は、同期の新入社員の間でも噂になっていた。

入社式の時には新入社員代表で挨拶をしたり、新入社員研修のSSでの作業実習では、先輩社員よりも見事に作業や接客をこなしていた。

他の同期たちがSSでの作業実習をしている中、薫は特例で実習を免除されて本社SSに配属された。

志信はそんな薫に驚き、他の同期と同様に、近寄りがたい存在だと思っていた。

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