君に恋していいですか?
しかし繁忙期の高速道路のSAにヘルプで出向き一緒に作業をしたり、薫がカウンセラーになってからはSSで面談をしたりと、何度か接しているうちに、だんだん最初の近寄りがたい印象が薄れてきた。

手が空くと計量器周りの掃除道具の整頓をしたり、食事休憩の時には一緒に食事をしている人たちにもお茶を淹れるなど、さりげなく女性らしい気遣いも出来る人なんだと気付いた。

そして、接客中に見せる笑顔や面談中に見せる穏やかな表情を見るうちに、なんとなく薫の事が気になり始めた。

販売事業部に配属になった時は、薫と同じ本社勤務になった事を密かに喜んでいたりもしたのだが、薫が本社勤務でありながら日中のほとんどを各SSを回って過ごす事から、志信がSSにいた頃より顔を合わせる機会は減ってしまった。

極たまに研修や会議で顔を合わせる事はあっても、なかなか声をかける事はできなかった。

そんな中で先週の金曜日。

SS部との飲み会があると知ってはいたが、薫がそんな席には滅多に顔を出さないと聞いていたのであまり期待はしていなかったものの、ほんのわずかな望みを掛けて、定時を過ぎて出先から戻った志信は、他の社員より遅れて飲み会に参加した。


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