君に恋していいですか?
そこで、一人壁際の席でつまらなさそうに酒を煽っている薫を見つけた時は、期待していなかった分だけ余計に嬉しかった。

このチャンスを逃すまいと、さりげなく薫の向かいの席に座り、思いきっていつもより積極的な態度で声を掛けた。

まったく脈ナシの“社内恋愛は有り得ない”と言う薫の言葉に少々ヘコみはしたものの、いきなり付き合おうと言うのも無理な話かと思い直し、“同期の仲間として仲良くしよう”と連絡先の交換をした。

それからはひたすら自分の存在をアピールしようと必死だった。

どんなふうに接したら、薫との距離を縮める事が出来るだろうか?

薫が“有り得ない”と言っていた恋愛の対象にいつかはなりたい。

時間を掛ければ、少しずつでも自分の方を見てくれるだろうか?




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