君に恋していいですか?
今まで見た事のなかった薫の表情にドキドキしながら、志信はそれをごまかすように慌てて箸立てに手を伸ばそうとした。

その手に薫が箸を手渡す。

「ハイ。」

「ありがと…。」

(なんかもう…ドキドキ通り越して心臓いてぇよ!)

「さ、食べよ。お腹空いた。いただきます。」

薫は手を合わせて食事の挨拶をすると、美味しそうに皿の上に乗った料理を食べ始めた。

志信がチラリと様子を窺うと、薫は何食わぬ顔で黙々と箸を進めている。

(実は自分がかなり女の子らしいって、無自覚なのかな…?)

自覚がないと言う事は、それは薫の元々持って生まれた性格なのだろうと、志信はなんとなく嬉しくなった。

(こういうさりげなく気遣い出来るところがいいんだよな…。)


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