君に恋していいですか?
突然の事に驚き、目を大きく見開いている志信に、薫はうつむいて呟く。

「いい…。やっぱり私、もう戻るから…。」

「えっ、どうしたの?!」

「なんでもない!じゃあね。」

ポツンと取り残された志信は、慌てて走り去っていく薫の後ろ姿を呆然と見ていた。

(どうしたんだろ…。何か用事があったの忘れてたとか?もう少し一緒にいたかったんだけどな…。)

志信は首をかしげながら喫煙室に入り、タバコに火をつけると、さっき薫に握られた手を眺めながら、柔らかい薫の手の感触を思い出していた。

(急にビックリした…。手…握られた…。なんだったんだろ、あれ…。)




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