君に恋していいですか?
休憩スペースの自販機で買ったコーヒーを持って喫煙室に入った薫は、静かにタバコに火をつけた。

(あーあ…。会社の飲み会とかって苦手…。めんどくさいんだよね…。)

若い女性社員たちの中にいると、普段は気にならない自分の歳が気になるようになってきた。

そして“そろそろいい相手はいないのか”などと言う上司のオジサンがいたりする。

そんな時はいつも心の中で“ほっとけよ”と思いながら、口元だけでニヤリと笑って答える。


“少なくともこの会社にはいませんね。”


薫の眼光の鋭さに怯んでそそくさと逃げ出す上司の背中を、何度見たことか。

(若い子は何言ってるかよくわからないし、オジサンの言う事にもイラッと来るし…。数少ない同世代女性社員はほとんど既婚者だし…。)



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