好き好き大好き!
佑樹の塾に着く。
私は塾の入口の間の道路を挟んで道に立つ。
入口から出てきたら丁度分かるように。
佑樹のお迎えを始めて約2ヶ月。
初めは無理矢理だったけど、
それが続くに連れて佑樹は飽きれてきたのか、もう何も言わなくなった。
段々と入口から人が出てくる。
佑樹まだかなー、なんて思ってたら
丁度やって来た。
今日は早く終わったみたい。
「佑樹ー!」
私は佑樹に向かって大きく手を振るが
佑樹はそれに答えてくれるわけもなく
私を見たあと直ぐに視線を戻し、向こうに歩いて行った。
私はさっさと道を渡って走って追いつく。
「佑樹今日は早かったね!」
「そうだね」
「佑樹、勉強順調?」
「別に普通だよ」
「そうなんだー」
佑樹はすごく頭がいい。
佑樹の目指す高校はこの街からはとっても遠くて、寮になっちゃうけど
とっても頭がいいところ。
その高校は3年間じゃなくて4年間で
その後自動的に大学に行く。
離れちゃうのは寂しい。
けど佑樹のため。
残りあと半年間、佑樹とたくさん思い出作るんだ。
「佑樹好きだよ」
「何いきなり」
「ただ言いたかっただけっ」
「いつもじゃん」
私は佑樹と付き合ってるわけじゃない。
私の、私だけの片想い。
「ごめんね」
「え?」
私が謝ることがそんなに珍しいのか
佑樹は驚く。
「ううん、私いつもこんなんだし、佑樹に迷惑ばっかりでさ」
えへへ、と笑う私。
「あんたらしくないよ」
「そうかな?私も謝るよ?」
「いや、そういう意味じゃなくて」
「え?」
「もういいわ」
そう言って佑樹は私の先を歩いた。