飴とノイズと君の声
それから授業の時間になり、英語の授業。


「この英文、答えられる人ー」

「琳ちゃん行けよー」

「琳ちゃん英語も得意だろ?」

「わー、マジか!えーっと、I have never been to China.かな」
『なんで俺に振るんだよ、面倒だな...』


それからも、たまに聞こえる琳ちゃんさんの声。
その声は、みんなに向けられる、嫌悪にも似た声だった。

本当の本当に、琳ちゃんさんの声、なのかな?


「じゃあ、この空欄に入る単語を答えろ。えーっと、春宮」

「えっ?」


うわ...当たっちゃった。
完全に聞いてなかったー...。


『probably』


「え...っと、ぷ、probably...?」

「正解だ」

「風歌ちゃんすごい!」

「春宮さんって英語得意なのか?」


違う...さっきのは...。


「ちなみに琳ちゃんは分かってたの?」

「ん?あぁ、まぁな」

「さすがだなー」


みんながうんうんと頷く。
教室を見渡してみるけど、みんなが分からなかったみたい。
じゃあ、やっぱり今のは、琳ちゃんさんの声、なんだ...。


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