飴とノイズと君の声
その次は家庭科の調理自習。
今日はオムレツを作る。


｢きゃっ！難しい～！｣

｢私あんまり包丁得意じゃないかもー！｣


女子はそう言って慣れない手つきで野菜を切り始める。


『料理得意って言ってたじゃん。...また嘘か』


その声が聞こえて、私は琳ちゃんさんの方を見る。
みんなが料理に集中してるから、琳ちゃんさんの方を見ていない。

そんな一瞬に浮かんだ。
琳ちゃんさんの不機嫌そうな顔。

きっと、女子のみんなは琳ちゃんさんに料理が得意だって言ったんだ。
でも、それは嘘だった。
またってことは、前もそんなことがあったんだ。


｢あははっ、琳ちゃんって料理は得意じゃねーんだな｣


男子の声が聞こえて、｢料理は苦手なんだよなー｣と琳ちゃんさんが笑っている。

そこにはさっきの不機嫌そうな琳ちゃんさんはいなかった。
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