飴とノイズと君の声

快晴の雨

次の日の教室では、昨日のテレビ番組の話題でもちきりだった。


「琳ちゃんほんとカッコいいー!」

「さすがだよねー!ケータとの息もピッタリだし~!」


ケータって...もう一人の人のことだよね。
たしか、名瀬慧太くん、だったかな。


「おはよー」

「あ!琳ちゃん!おはよー!」

「昨日のテレビ見たよー!」


琳ちゃんさんが教室に入ると、みんなが琳ちゃんさんを一斉に囲む。


「おぉ、サンキュ!ちょっと緊張気味だったんだよなー」

「え、あれで緊張してるとか嘘だー!」

「ほんとほんと!生放送は収録より断然ヤバいから!」


琳ちゃんさんはいつもと同じように明るくて、笑顔を振り撒く。


「琳ちゃん、今日、一緒に遊びに行こー!」

「えっと...ごめん、今日は無理...かな」

「えーっ!何で!?」

「ごめん、仕事、入ってて」


『仕事入ってたらマジで死んでたな。ハハ、ウケるわ』


自虐的な笑い声。
仕事は無いってことかな。
ってことは、みんなに言ったのは嘘ってことになる。

いつもならみんなの誘いに乗ってるのに、今日はなんでだろう。


「えー、残念」

「また誘ってくれよ!その時は多分行けるからさ!」


琳ちゃんさんはそう言って微笑む。


『今日が無事で終わればいいけど』


その一言が、かなり心残りだった。
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