飴とノイズと君の声
その日は、特に何も無かった。

琳ちゃんさんはいつも通りニコニコしてて、みんなも琳ちゃんさんを取り囲んで笑う。


『明日も、このまま笑えたらいいけど』


だけど、琳ちゃんさんの心の声は、いつになく不安そうだった。

そんな日が、一週間ほど続いた。


『今日は大丈夫だったかな』

『上手く笑わなきゃ、いつも以上に』


そんな不安げな、辛そうな声が毎日響く。

その度に私は琳ちゃんさんを見るけど、琳ちゃんさんはやっぱり笑っていた。
何が不安なのか、分からない。

心の声にはならない。
考えたくもないことなのかな。

琳ちゃんさんの心の中は、笑っていなきゃ、という使命感に包まれていて、聞いている方が息苦しくて辛かった。

まるで、琳ちゃんさんの感情は、他の誰かの感情みたいだ。
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