飴とノイズと君の声
朝、目を覚ましてすぐに、声が聞こえた。


『今日は...ヤバいかも』


琳ちゃんさんの姿は勿論無い。
だから、今どんな表情をしているのか分からない。

だけど、その声は震えていた。

何がヤバいんだろう。

私はいつもより早く家を出て、学校に向かった。
そして、教室についたのはいつもより20分早い時間。

琳ちゃんさんは、教室にいた。
まだ、誰も来ていない教室に、一人で机に伏せていた。


「ん...あれ、ふーちゃんじゃん。おはよー」


琳ちゃんさんは私に気づいてゆっくりと体を起こした。


「おはよう、ございます」

「今日は早いんだねー、ふーちゃん、いつも30分くらいに来るのに」


琳ちゃんさんはニコニコ笑ってそう言った。


「...よく知ってましたね、私が来てる時間」

「大体は把握してるからねー。一馬は25分、吉川さんは35分、とかね」


琳ちゃんさんは笑顔を崩さない。
それがなんだか、すごく不自然に見えた。
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