飴とノイズと君の声
それからすぐにみんなが教室に入ってきた。


「おはよー!」

「あ、おはよ、みんな」


みんなが琳ちゃんさんの周りに集まってくる。
私は静かにその場を離れて、席についた。

琳ちゃんさんは、さっき私に向けた笑顔をみんなに向けている。


「今日は遊べる?」

「...あー、ごめん。今日も予定入ってるんだ」

「最近琳ちゃん忙しいよねー」

「仕方ないよ!琳ちゃん大人気だし、私達とずっと一緒にいれるほど暇じゃないよー」

「あはは、そんなことないって。また誘って?」


この前と同じ、何度目か分からない会話。
仕事がないなら、何が理由なのかな。


『はは、誰も気づかねぇんだ。笑えるわ』


冷めた笑い声。
琳ちゃんさんの、心の声だ。


『俺、笑ってるだけじゃダメなのかー。どうすりゃいいんだろ。...あー...考えてたら頭痛くなってきた』


笑ってるだけじゃダメ?
それって、私が不自然だって言ったから?

...もしそうだとしたら、きっと琳ちゃんさんは、もっと不自然になる気がする。

もっと、本当の琳ちゃんさんから、離れちゃう。
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