飴とノイズと君の声
裏庭に行くと、ベンチに座っている琳ちゃんさんを見つけた。


「琳ちゃんさん...?」


私の声に琳ちゃんさんは振り向き、驚いた表情になった。


「えっ...なんで...?」

「なんでって...呼ばれたから来ただけです」


私はそう言って琳ちゃんさんを見る。


「...冗談じゃ...」

「ないですよ」


琳ちゃんさんの表情は固まったけど、やがてふわっと笑顔になった。


「そっか」

「思ったより驚かないっていうか...怖がらないんですね」


もっと驚いて、怖がるかと思ってたのに、以外だった。


「んー...なんだろうね。安心?」

「安心、ですか?」

「んー...なんだろう...今まで俺の気持ちを分かってくれてるって感じたこと、あんまり無くてね。なんか、嬉しさと恥ずかしさで訳分かんない。怖がるってところまで行かないだけかな」


『分かってくれる?...俺の言葉、理解してくれる?』


琳ちゃんさんの心の声は、不安と期待が入り交じっていた。


「...頑張ります、理解できるように」


私の言葉に、琳ちゃんさんは驚いた表情を見せた後、微笑んだ。
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