飴とノイズと君の声
「...俺、さ。クラスのみんなが...いや、俺の周りにいる人達が、嫌い、かもしれない」

「...そうですか」

「...俺と一緒にいて騒いでるのは、きっと俺が芸能人だから。芸能人と仲が良い自分が好きなんだろって。...ひねくれてるよねー、俺」


自嘲気味に笑う琳ちゃんさんの話を、私は小さく頷きながら聞いていた。


「...なんか、ふーちゃんと話してると、愚痴りたくなってきちゃうね」

「...いいんじゃないですかね?ちょっとくらい。みんな、愚痴なんて沢山言ってますし。それに、琳ちゃんさんの愚痴は...一人を苦しめるような愚痴じゃないですし」

「...ありがと、ふーちゃん」


これが正しいのかは分からない。
だけど、琳ちゃんさんは必要以上にみんなに気を使って、好かれている。

疲れちゃうのも、当たり前だと思うし。


「ねぇ、ふーちゃん」

「なんですか?」

「...俺ね、ふーちゃんのことずるいって思ってたんだ」


そう言えば、聞いた気がする。

春宮さんは、ずるい。

その言葉が、確かに気になっていた。


「俺もね、ふーちゃんみたいに、自分の思い通りにしてみたくて。だけど、それじゃあ俺は、みんなに...」


そこまで言って、琳ちゃんさんは黙り込んでしまった。
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