飴とノイズと君の声

触れられない心の底

｢...そんなこと、どうでもいいじゃん｣


琳ちゃんさんは、小さく笑って私を見る。
その表情は、明らかに無理をして笑っていた。


『ふーちゃんでも、分かんないことはあるのに、俺ってちょっとバカだったかな』


...今の質問は、してはいけなかった。
そのせいで、琳ちゃんさんは私に心を閉ざそうとする。


｢そう、ですよね。そんなこと、聞かなくても良かったですよね｣

｢っあ、ごめん。俺面倒くさいね｣


分からなくなった。
琳ちゃんさんの心の声が、聞こえても聞こえなくても。

琳ちゃんさんの心の底は、分からないまま。

少し、思い違いをしていたのかも。
琳ちゃんさんの全てを、分かっているような気になってしまっていたのかもしれない。
< 39 / 110 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop