飴とノイズと君の声
「着いたよ」

「ありがとうございます」

「あ、ありがとうございました」


マネージャーさんの後をついて、私と琳ちゃんさんはスタジオの楽屋に向かった。

そして、楽屋の扉を開けると、そこにはBAD RADのもう一人のメンバー、名瀬慧太くんがいた。


「やっほ、琳ちゃん」

「よぉ、慧太」

「へぇ、この子がふーちゃん?」


二人が軽く挨拶を交わしたのを見ていると、名瀬慧太くんが私を興味津々といった様子で眺めていた。


「あぁ。そうだよ」

「へー、可愛いね!」

「名瀬慧太くん...?」

「あははっ、フルネームで呼ばなくてもいいよ。そーだなー...けーちゃんとかで」

「お前、誰にもけーちゃんなんて呼ばれてねぇだろ?」


琳ちゃんさんは小さく笑って名瀬慧太くんの方を見る。


「だからいいんじゃん!ね、けーちゃんって呼んで!」

「け、けーちゃん、さん...?」

「あはっ、可愛いー。さん付けするの、癖なの?」

「あ、はい。だから、けーちゃんさんにしますね」

「りょーかい!」


けーちゃんさんは、琳ちゃんさんより明るくて、ヤンチャそうな感じ。無邪気で、太陽、みたいな。
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