飴とノイズと君の声
「どういう意味ですか?」

「んー...俺もあんまり詳しいことは知らないんだけどね。ふーちゃんならいいかなぁー」


けーちゃんさんは少し悩んだ素振りを見せた後、決意したように私を見つめた。


「琳ちゃんね、愛されるのが怖いんだよ」

「愛されるのが?」

「そう。それと人前で寝ないこと、何か関係してるみたいだけど、俺はそれ以上はあんまり知らない。ただ、琳ちゃんはファンレターとかも読まないんだよ。愛してるとか好きとか、言われると吐き気がするって前言ってたことあったし」


愛されるのが怖い?
吐き気がする?

...愛されることの何を拒絶してるんだろう...。


「でも、ふーちゃんには心を許してるのかもね」

「いえ、それは違うと思います...。私、琳ちゃんさんになんでアイドルをしてるのか聞いたら、機嫌を損ねちゃったみたいでしたし、私は琳ちゃんさんの気持ち、理解できないと思います」

「...それは...琳ちゃん自身も悩んでるんだよ。アイドルをしてるのは、理由があったみたい。今はその理由は無くなったみたいだけど、むやみに止められないからね。それに、琳ちゃんの気持ちは確かに難しいよ。グルグルグルグル、難しいこと考えてると思うし。だけど、他の人よりふーちゃんはきっと特別だと思うよ?」

「特別、ですか...?」

「うん。琳ちゃんの気持ちを今一番分かってるのはふーちゃんなんじゃないかなぁ。それが例え間違っていたとしても、琳ちゃんに向き合おうとしてるふーちゃんのこと、琳ちゃんは嫌ったりしないと思うし」


琳ちゃんさんの気持ちは、ますます謎が深まっていく。

何がなんだか分からない私が、琳ちゃんさんの気持ちを一番分かってるなんて、信じられなかった。
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