飴とノイズと君の声
「ありがと。...俺、楽屋に戻るね。今日は休んでいいって、琳ちゃんに言っといて」

「分かりました」


けーちゃんさんはそう言い残して、医務室を出て行ってしまった。

どうすれば、琳ちゃんさんの気持ちが分かるかな。
あの力が自由に使えたら、一番早いんだけど。
だけど...このことはそんな風に知って良いことだとは思えない。

だから私は、勇気を出してみることにした。


「琳ちゃんさん。信じてないって訳じゃ、ないんじゃないですか」


私がそう言うと、「あ、バレてたんだ」と琳ちゃんさんは体を起こした。


「あー、まだ体があんま動かねぇや」

「...いつから起きてたんですか?」

「...慧太が、俺が最近寝れてねぇんだって言ってたとこかな。丁度その時に一回目が覚めて、起きようと思ったんだけど、慧太があまりにも俺のことで悩んでるから。...聞いたことがない本音を、知るチャンスだって思って」


琳ちゃんさんはそう言って、俯いた。


「知らなかった。あんなに慧太が悩んでくれてるなんて」


その声が、少し切なさを含んでいるように、私には聞こえた。
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