飴とノイズと君の声
「けーちゃんさんのこと...信じてない訳じゃないんですよね?」

「...そりゃあね。だって、俺が悩んでることを一番に話したのは、慧太だから」

「...そう、ですよね。けーちゃんさんから聞いたんです。琳ちゃんさんは、愛されることを極度に嫌うって」

「...そっか。慧太にも分かったんだね、ふーちゃんのことを、俺が頼っちゃってるって」


琳ちゃんさんは小さく微笑む。


「...慧太、他に何か言ってた?」


けーちゃんさんの気持ちを伝えれば、分かり合えるかな...。
少なくとも今は、その可能性にかけるしかない。


「...頼ってくれなくなっちゃったって、言ってました」

「えっ...?」

「...一度、けーちゃんさんに自分の過去や不安を、打ち明けたことがあったんですよね?」

「...その時は一部だったけど、うん。打ち明けた」

「でも、それから琳ちゃんさんは何も言ってくれなくなっちゃったって。けーちゃんさんは、それが自分のせいだって自分を責めているんです」

「えっ...それは、違う」

「...琳ちゃんさんの気持ちを、けーちゃんさんに伝えましょう?そうしなきゃ、きっとお互いが苦しんだままになっちゃいます」


私の言葉に、琳ちゃんさんは少し悩んで、「慧太のところ、連れていってくれる?」と私に言った。
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