飴とノイズと君の声
「昨日から、琳ちゃんさんおかしいですよ。周りを見回してるし、いつもよりヘラヘラしてるように感じます」

「...今日のふーちゃん、なんか強気だね」


琳ちゃんさんは相変わらず困ったように微笑む。


『ふーちゃんに伝わっちゃうの、嫌だな。今だけ、能力が使えなくなっちゃえばいいのに...』


琳ちゃんさんの心の声に、私は少し驚いた。

琳ちゃんさんにこの能力を拒否されるのは、初めてだと思うから。


「...とにかく、何にもないから。じゃあ、俺戻るね」


琳ちゃんさんはそう言って私に背を向けた。

琳ちゃんさんが何かに不安を抱いているのは確かなのに、それに触れられない。

それがもどかしくて、少し悔しい。

琳ちゃんさんは、全てを打ち明けてくれるようになった訳じゃないんだ。
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