飴とノイズと君の声
放課後になり、私はのんびりと帰り道を歩いていた。

と言ってもその道は、いつもとは違う、少し遠回りの道。

たまに、こうやってあまり通らない道を通ってみる。
そうすると、いつもと違う景色に、なんとなく気分が変わるから。

何にも考えずに、ただまだ見慣れていない道を歩く。

暫く歩いていると、頭にコン、と何かが当たった。


「ん...?」


特に痛いわけでもない、小さくて軽い何か。
足元を見てみると、キラキラと綺麗な包み紙のキャンディーが一つ、落ちていた。


「飴...?なんで?」


私は周りを見回す。
誰かが投げてきたのかもしれないし。

だけど、周りには誰もいない。

...空から降ってきた...?
雨ならともかく、飴が空から振ってくるって...異常気象!?

そこまで考えて、私はあの本の内容を思い出した。
特別な飴を舐めて、能力を手に入れる...。

もしこれがその飴だったら?
...そんなわけないっていうのは十分分かってるけど、本の主人公の気分になって、私は足元の飴を拾った。

そして、包み紙を開ける。

そこには、角度によって色が変わる、不思議な飴があった。
形は丸くて、本当に普通。
だけど、色は本当に不思議な色。

...こんな飴、見たことない。

私は包み紙に飴を包み直し、ポケットに入れ、帰った。
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