飴とノイズと君の声
「...笑うなよ、琳ちゃん」


その声は、震えていた。


「...俺が泣きそうになってて琳ちゃんが笑ってるとかおかしいだろ。琳ちゃんも泣け。琳ちゃんのせいで泣いてんだから」


琳ちゃんさんに、けーちゃんさんの温かさが届いた。

琳ちゃんさんは、けーちゃんさんの肩に顔を埋め、小刻みに震えていた。

怖いに決まってる。

そんな経験をすれば、誰だってそうなると思う。

昨日、女性たちに囲まれたとき、どれだけ怖かっただろう。
過去のトラウマが一気に襲ってきて、だけど、私のためにそれに耐えようとしてくれていた。


「琳ちゃんさん、ありがとうございます」


話してくれてありがとう。
私のために耐えようとしてくれてありがとう。

私達は暫く、そこを動くことはなかった。
< 81 / 110 >

この作品をシェア

pagetop