飴とノイズと君の声
次の日、けーちゃんさんは説明をするために事務所に行った。
琳ちゃんさんはまだ、精神的にも安定しないだろうから、と、けーちゃんさんの家で待機。
私もそこにお邪魔していた。


[ごめんね、声、まだ戻んなくて]


「大丈夫ですよ。ゆっくり待ちましょう?」


眉を下げて私の方を遠慮がちに見る琳ちゃんさんに、私は微笑んでそう返した。


『聞こえる?ふーちゃん』


琳ちゃんさんの心の声が突然聞こえて、私は「わあっ」と驚いてしまう。
そんな私を、琳ちゃんさんはおかしそうに笑って見ていた。


『聞こえるみたいだね。こうやって話してもいい?』


「もちろんですよ」


『ありがと』


やっぱり、少し安心する。
琳ちゃんさんの声は、優しくて、心地いいから。
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