旦那さまの皮を被った変態が
※それでも、結局、やっぱり、だとしても
ーー
朝、ポストに入っていた新聞紙をテーブルに置いたときのことです。
ひらひらと一枚の封筒が。
宛名も差出人もなく、どなたかしらと封を切ります。
「まあまあ、大変です」
「どうふぁ、したのふぁ?」
独り言のつもりでしたが、洗面台で歯磨き中の旦那さまを召喚してしまいました。
どうかしたのか?そう問われる旦那さまに、一枚の紙を差し出す。
『お前の旦那は、浮気をしている』
そう書かれた紙を見た旦那さまは、あからさまにしかめっ面。歯磨きをしゃこしゃこを再開されます。
「警察に、ふぉふぉけとよう。こんなイタズラふぁ、なにもしないと、あいてふぁ、つけふぁがる」
相手がつけあがるから警察に届けようとおっしゃる旦那さま。確かにそうですが、この程度のことでとも思ってしまいます。
「初めてですし、次に来たら届けます。一通程度では、警察も動いて下さらないかと」
「ようじんふぁ、怠らないふぉうに」
はいはいと、旦那さまに口をゆすぐよう促す。ああ、でも、その前に。
「浮気、なさっておいでで?」
「俺は、君以外に一切興味がない!」
口の中の物を飲み込むほどの熱意ある言葉で真実味が増しますし、何よりも。
「歯ブラシはお間違いならないようにと申しましたよね」
ピンクの歯ブラシをご使用になる旦那さまに、浮気の『う』も字も見えませんわ。
※変態の、『へんたい』の字しか見えない。