愛しています

そして出産予定日間近に迫り、
俺も彼女もお腹の子が生まれてくるのを楽しみに待っていた。

「ねぇ優斗、この子の名前決めてなかったね」

「あ!そうだどうしようか…」

「それでねあたし考えたの!」

無邪気に笑い紙に書き見せてきた名前。
すぐに決定した。



そして陣痛が始まり、
俺と彼女は分娩室にいた。

苦しそうな彼女の横で俺は手を握って必死に
「もうすぐ生まれてくるよ、俺もいるから落ち着いて」
と励まし続けた。
頑張れって言葉は絶対NGだ。
もう頑張っているんだから。と会社の先輩に言われていたので頑張れとは言わなかった。

もうすぐで生まれるのかなと心の中で思っていた頃、彼女の容態が変わった。

そうだった。真美は体が弱いんだった。

そう心で呟いたもつかの間、
思いもよらぬ言葉を医者が口にした。




「奥様とお子さん、どちらかしか助けられません」



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