realize
「…翔大くんとは仲がいいんですか?」

聞いた途中で質問がルール違反では、
と思い付け足した。

「ごめんなさい。プライベートなことは詮索しないルールなのに…
ダメなら、流してください、深追いはしませんので…すみません…。」


「…。」

自然に息を吐くように
穏やかな笑顔で微笑んだ。


そのまま車は静に発車した。


…一瞬の心の緩みが
良くない事を言ったのでは、
と考えていると、…


「俺ね、IT関係の仕事をしてるんだけど
その時に翔大に会ったんだ。」


私は静に話ながら運転している
彼を見つめた。


私が知ってるのは、彼が"雅春さん"
という名前だけ。


「アイツはFX のコト調べてるみたいで
興味本意に色々教えてたら、…」


「…なつかれちゃったんですね?」


「…まぁ、そんな感じかな?…」


雅春さんは少し寂しそうに笑った。

私はその意味はわからなかったけど、
少しだけ雅春さんの本音に触れた気がした。


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