猫系男子の甘い誘惑
ラグナロク・クロニクルは、ゲームに疎い倫子でも名前くらいは知っている大ヒットゲームだ。どうやら佑真もプレイヤーらしい。
「グングニルの槍ってオーディンが持っている槍のこと。オーディンっていうのは、北欧神話の神様の名前ね」
「あ、ゲームにもいた。そういや、オーディンを倒すと槍がもらえたような……」
(……問題はそこじゃないんだけど)
だが、今はそこを追及している場合ではなかった。倫子としては、今自分が思ったことを彼と共有したい――それだけだ。
「グングニルの槍ってね。放たれたら目標まで一直線、絶対狙いを外さないの。私の言いたいこと、わかる?」
「……要は、あいつをぼろぼろにしてやりたいと」
「うーん、そうね、そんな感じかな」
たぶん、言いたいのはそれだけではなかった。けれど、二日酔いの頭では、そこから先の思考をまとめるのも困難だった。
佑真が朝食に戻ったのをいいことに、カップの底にわずかに残ったコーヒーを見つめる。
敦樹と知り合ったのは、大学のゼミだった。とはいえ、二人が同じゼミに所属していたというわけではない。たまたま、隣同士の教室を使っていたゼミ生達が「よかったら一緒に呑もうじゃないか」という話になったのがきっかけだった。
「グングニルの槍ってオーディンが持っている槍のこと。オーディンっていうのは、北欧神話の神様の名前ね」
「あ、ゲームにもいた。そういや、オーディンを倒すと槍がもらえたような……」
(……問題はそこじゃないんだけど)
だが、今はそこを追及している場合ではなかった。倫子としては、今自分が思ったことを彼と共有したい――それだけだ。
「グングニルの槍ってね。放たれたら目標まで一直線、絶対狙いを外さないの。私の言いたいこと、わかる?」
「……要は、あいつをぼろぼろにしてやりたいと」
「うーん、そうね、そんな感じかな」
たぶん、言いたいのはそれだけではなかった。けれど、二日酔いの頭では、そこから先の思考をまとめるのも困難だった。
佑真が朝食に戻ったのをいいことに、カップの底にわずかに残ったコーヒーを見つめる。
敦樹と知り合ったのは、大学のゼミだった。とはいえ、二人が同じゼミに所属していたというわけではない。たまたま、隣同士の教室を使っていたゼミ生達が「よかったら一緒に呑もうじゃないか」という話になったのがきっかけだった。