猫系男子の甘い誘惑
年下男の行動力舐めるんじゃなかった――!
(年下男の行動力舐めるんじゃなかった――!)

 てっきり休みの日だけ連れ回されるのだと思っていた。それなのに、佑真は毎日のように倫子を引っ張り回した。

 その日連れて行かれたのは、ウィンドウショッピングだった。仕事を早めに終わらせれば、店を見て回るくらい十分にある。

 二人と同じように仕事帰りらしき人達が歩いている。ああでもない、こうでもないと冷やかして歩くのは意外と楽しかった。

「倫子さんは、あの色が似合うと思う。足、思いきり出すっていうのはどう?」
「あんな派手な色着られないわよ」

 彼の指していたのは真っ赤なドレス。どう考えても、身体の線がまるわかりで、おまけに腿の上の方まで大胆にスリットが入っている。

「えー、似合うと思うんだけどなあ」

 そう言って、佑真は考え込む表情になった。

「でも、もうちょっとお腹周りは――」
「言うな!」
「ごめんなさいっ!」

 そう言えば、彼には全裸を見られていたんだった。見られただけではなくて、全身に彼の手が這わされたのだろう、たぶん。
 彼には気づかれないよう、倫子は自分の腹部に目を落とした。ちょっとたるんでいる気がする。
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